不当勧告下での確定闘争(11/8)

▲集会後、都庁を包囲するようにデモ行進。要求実現へシュプレヒコールをあげた

 10月16日の東京都人事委員会勧告は、公民較差47円(0・01%)と較差が小さいことから4年連続で月例給の改定を見送った。また、特別区人事委員会は、10月21日、月例給△2,235円(△0.58%)と前年よりもマイナス幅は圧縮したものの、2年連続の大幅な月例給の引き下げを勧告した。民間における賃上げ率(連合調査で2.07%)や国・他団体の多くで賃上げが勧告されている状況から見て、東京における2019年確定闘争は極めて不当な勧告下での闘いとなった。
 都本部は、10月21日、第7回単組代表委員会において、東京の生活実態に見合う賃金水準の確保を求め、労使交渉による月例給・一時金の改善をめざす2019賃金確定闘争方針を確立した。また、労使による自主交渉・自主決着を尊重させるため、東京都総務局行政部市町村課(10/24)、東京都市長会・町村会(10/29)に対し要請行動を実施した。さらに、11月8日には、東京地公労秋季年末闘争勝利!総決起集会に結集し、都・特別区・市町すべての単組で労使交渉を強化し、要求実現にむけて最後まで闘い抜く決意を確認した。

 以下、各交渉組織における妥結状況。

都労連

昇給制度見直しを阻止         

不妊症・不育症に係る休暇等を整備

 都労連は、10月9日に人事給与制度に関する要求書のほか、高齢期雇用制度、臨時・非常勤職員及び任期付職員の処遇改善、福利厚生事業、業務上の事故に伴う身分保障に関する7本の要求書を提出し、6派に及ぶ総決起集会、早朝ビラ配布行動などを貫徹した。
 交渉で都側は、都人事委員会が勧告した勤勉手当0.05月分の引き上げについて、「国や他団体と比較して突出して高い支給月数」と強調し、引き上げに慎重な姿勢を示したのに加え、昇給制度について、下位区分以下の割合が小さいことを理由に、業績のきめ細かな反映の観点での制度見直しに言及した。これに対し都労連は、現行の昇給制度は見直してから1度しか運用していないこと、その1度の検証も不十分な状況であり、一方的な都側の課題認識による提案であると強く非難した。
 交渉は膠着状態が続いたが、11月14日午前0時50分からの団体交渉で都側は、一時金について勧告どおり勤勉手当0.05月引き上げを回答。同時に、都側が最後まで固執した昇給制度の見直し提案は断念させた。なお、都労連要求として、不妊症・不育症の各種検査、治療および療養を病気休暇の対象とするとし、妥結に至った。

特区連・東京清掃

マイナス改定による「所要の調整」阻止

技能主任の資格基準、成績率の判定区分改善

 特別区人事委員会の大幅マイナス勧告の原因は、前年勧告と同様、2018年に特別区人事委員会が主導して実施した人事・給与制度改正による職級再編を行った結果、現給保障した上で役職段階が下がる職員を多く生じさせたことにある。そのため、特区連および東京清掃労組は、公務員の給与決定原則に反するものとし、区長会に対してマイナス勧告を実施しないよう強く求めてきた。これに対し区長会は、「2年連続で勧告を踏まえた給与改定を実施しないことは回避すべき」との考えを示し、マイナス改定の実施は避けられないとの姿勢に終始した。
 交渉の最終局面となった11月21日に至っても区長会の姿勢は変わらなかったが、21日深夜の団体交渉で、①月例給は勧告通り実施するものの、4月から改定までの期間における公民較差相当分の「所要の調整」は行わない、②今年度定年退職者等について、改定前の月例給で退職手当の算定を行う、③一時金は勧告どおり0.15月引き上げて年間4.65月(再任用2.45月)とするとの最終回答を得た。さらに、技能系人事給与制度について、①技能主任の任用資格基準を1級職在籍期間16年から12年とする、②勤勉手当の成績率における勤務成績判定区分について、現行では技能主任職から統括技能長職まで同一の区分であったが、2020年1月より「技能主任」と「統括技能長職・技能長職・担当技能長職」に変更するとした。マイナス改定の実施は阻止できなかったものの、所要の調整の阻止など、組合員の団結と労使交渉による成果を築き妥結に至った。

市町職

羽村で労使合意を破る不当な賃下げ提案

 市町職各単組は、①独自給与削減など勧告によらない賃下げを阻止し、都人勧に基づく一時金の引き上げの実施、②時間外労働の縮減にむけた取り組み、③会計年度任用職員制度の確立を到達指標とし、11月14日をヤマ場に統一交渉を実施した。11月26日現在、市町職(自治体単組)22単組中16単組で到達指標に達する回答を引き出し、妥結した。
 一方で、羽村では、11月25日、労使合意を破る不当提案が示された。羽村市職は、昨年の給与改定交渉において市財政の悪化を理由とした賃金削減提案を受け、2019年度の1年間に限り、地域手当1%カット(10%→9%)を労使合意の上で受け入れてきた。しかし、羽村市当局は1年間限りの労使合意を反故にするばかりか、削減幅をさらに拡大し、2020年度から7%とする不当提案を行った。都本部は、労使合意を踏みにじる羽村市当局の対応を断固糾弾し、不当提案の撤回にむけて羽村市職のたたかいを支援する。

(2019年)


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