2023春闘討論集会(1/28)

1月28日、都本部は春闘討論集会を対面(連合会館)とウェブの併用で開催し、全体会と3つの分科会を実施しました。
 全体会では記念講演として、武庫川女子大学の本田 一成教授から「労働組合の進路『メンバーシップ型雇用』をどうするか?」と題して講演をいただきました。本田教授からは、「労働市場で労働者と使用者が出会っても両者の関係は対等ではなく、使用者の方が立場が強い。そうした労働市場の不完全な部分を補って労働者を保護することができるのが労働組合だ。しかし、労働組合は今、『リアル組織率(厚労省が発表している推定組織率とは別)の低下』『競合(他の労働組合や、先回りして制度等を整備してしまう使用者』『ジェンダーギャップ(女性の役員が少ない)』という3つの危機を迎えている」との説明がありました。さらに、日本で主流となっているメンバーシップ型雇用についても触れ、「日本の雇用は就職ではなく就社、人事部に強い権限がある、企業内で人材を育成していくことなどが特徴。また、正社員と非正規労働者それぞれの労働者の宿命を考えてみると、正社員は労働時間が問題になりやすいのに対し、非正規労働者は賃金の問題が起こりやすい。メンバーシップ型雇用は正社員に当てはまる雇用なので、長時間労働のような労働時間が問題となりやすいということだ。労働組合にはこの労働者の宿命を打破する取り組み、そしてメンバーシップ型雇用を改変する取り組みを実践してほしい」との訴えがありました。
 その後、都本部の松村副委員長より都本部2023春闘方針(案)の提起があり、今春闘における基本的な考えを述べ、全体会を終了しました。

▲武庫川女子大学 本田 一成 教授
▲松村副委員長

 第1分科会では「会計年度任用職員の処遇改善」をテーマに、講演Ⅰでは自治労本部総合組織局 佐藤  強化拡大局長より、会計年度任用職員の月例給改善等の事例について紹介がありました。
 講演Ⅱでは、自治労本部総合労働局 森本 総合労働局長より総務省が発出した「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」について紹介があり、この通知の中で総務省が自治体に対し、会計年度任用職員の任用には、退職手当や社会保険料等の負担を免れるために不適切な空白期間を設けることのないよう適切に対応することを求めている等の具体的内容について説明がありました。

▲本部総合組織局 佐藤  強化拡大局長
▲本部総合労働局 森本 総合労働局長

 第2分科会では「長時間労働の是正と労働時間の管理」について、講演と単組報告がありました。講演では、自治労総合労働局 森本 総合労働局長より地方公務員は原則として労基法が適用され、週40時間を超えて労働させるには36協定を締結しなければならないことや、締結できる主体が「①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、②①の労働組合が無い場合は労働者の過半数を代表する者」であるため、会計年度任用職員の組織化も重要となってくるといった解説がありました。
 その後の単組報告では、青梅市職の岡崎書記長、八王子市職の武藤書記長、港区職労の豊田書記次長から、各職場での超過勤務削減にむけた取り組み事例の報告がありました。

▲青梅市職 岡崎書記長
▲八王子市職 武藤書記長
▲港区職労 豊田書記次長

 第3分科会は「公共民間職場の賃金労働条件の改善」をテーマとして講演と単組報告が行われました。講演Ⅰでは自治労本部公共サービス民間労組評議会の橋本議長より、公共民間単組で交渉サイクル(要求書提出→交渉→協約書締結)を確立しているのは約1割に過ぎないこと、すべての労働者の賃上げを実現するためには「賃金の3大格差(企業規模、雇用形態、男女間)の解消」「準備から要求獲得、そして職場の団結と職場支配権の確立」「企業の論理を切り崩すこと」「自治体単組との連携を密にすること」が肝要であるとの解説がありました。
 講演Ⅱでは、連合東京の内村会長代行より、連合東京2023春闘における3つの柱として「働きの価値に見合った賃金水準への引上げ」「すべての働く者の立場にたった働き方の改善」「中小労組支援と適正価格の推進」を掲げ、私たちの交渉が昇給ルールのない労働組合もない会社で働く仲間の労働条件と生活の向上につながるとの説明がありました。
 単組報告においては、東京交通協力会労組の達副委員長から過去の春闘における成果や2023春闘要求では賃金関係だけに絞ったこと等について報告がありました。また、三鷹市社会福祉協議会労組の名渡山副委員長は、問題が起きてから使用者と交渉しようとしても何をすればよいか分からない可能性があるため、定期的に交渉することで交渉ノウハウを維持することの重要性等を説きました。

▲本部公共サービス民間労組評議会 橋本議長
▲連合東京 内村会長代行
▲東京交通協力会労組 達副委員長

▲三鷹市社会福祉協議会労組 名渡山副委員長